身体介護という肉体的負担の大きな労働を伴う介護職は、賃金が安いというデメリットもあり、慢性的な人手不足に悩まされています。しかし、介護を必要とする高齢者は増える一方なので、介護職員の確保は国全体の大きな課題といえます。そこで、介護職の処遇を改善を図るために、2019年10月から、特定処遇改善加算という制度がスタートしました。特定処遇改善加算とは、キャリアアップシステムや職場改善の計画を立てた介護事業所に対して、行政機関が介護報酬の上乗せをするという制度です。
介護事業所が、賃金体系や資格取得支援など、職場の改善項目についての計画と実施状況を記した書類を提出し、行政機関に処遇改善加算を請求することで、介護報酬に特定処遇改善加算を上乗せしてもらうことができるようになっています。この制度を利用すると、特定処遇改善加算の全額を介護職員の給与に充てることができるので、給与のアップが可能です。ただし、分配の方法は介護施設の管理者に委任されるものの、所長や理事長などの管理職は、受給することはできません。あくまで、現場の職員に支給されるように設立された制度なのです。
ちなみに、特定処遇改善加算は、介護職員の人材確保と合わせて、介護の質の向上も目的としているため、勤続年数10年以上の介護福祉士などが、給与アップの対象になります。そのため、特定処遇改善加算の恩恵を受けることができる人が少ないのが現実のようです。